もう 2022/02/03

あ てた夕日 きれいやさしいひと いっぱいいっぱい苦しんでるひと いっぱいこえ ととかない水のなかのツェランしたい きれいなしたいつよいこともういえない心がねじまがっているきみの性器なめる味がする まずいつきからつきへ紙をなでる手きみのつめたい手…

トドかなくてよい。そう、トドかなくてもよい、…… 2022/04/05

何も書けそうにはないときには日記を書くことにする。 自分の中から言葉がなくなったとき、パウル・ツェランの詩やサティのピアノ曲を聴くと落ち着くと思っていたけど、サティはだめだった。やってきた、やってきた。ひとつのことばがやってきた、やってきた…

無言の手の息遣い 2022/04/04

夜、きょうも薬を3粒飲んで、効いていく苦痛は褪せてゆく。 本を読もうとしても、文字は意味になる前にするすると抜けていって、胸の内側が脈を打つだけ。 ツイッターをやめてから、流れそうになる言葉はぜんぶぼくに返ってきて溜まってゆく。絶望している…

あの子の体を 2022/02/03

無意識に対する徹底的な叛乱。あらゆるものを批評する。そこで生まれる絶対的な意味。絶対的なものに対する反証。ぼくはあらゆるものに隷属する。隷属から革命へ。お前は文字盤を崩し、文字を燃やしたいらしいな。じゃあさ、あの場所にいた、体操の際に見事…

君がここにいる理由はわかるが、なぜ私はここにいるんだ 2022/04/03

今日、初めて油絵をやった。ぼくは、作るためには読むこと、見(観)ることがなければできないが、ふしぎと絵は無の状態で描くことができる。ある一つの否定に対しそれを肯定することで否定性を浮き彫りにするその操作、あるいは、耐えず自らを論駁する批評…

人物画 step first

病的に捉え、繊細に描写する手つき。繊細さを捨て、色彩を過剰にする。そこに写っていないものを幻視すること。顔よりも内臓の皺を描くこと。荒々しく、素早く狂気を捉えること。

何をしてもすでに書かれてしまっている 2022/04/02

文字を撹乱するために絵が使われたことはかつてあったか? 人物画が文字とは程遠いことは、体がそう答えている。「お前にとって人物を描くことは、人面瘡が体中にできることに等しく、その瘡に話しかけられる予感が、正常なものの世界を打ち壊すだろう」 絵…

2022/03/29

読めない文字を書く。聞き取れない声を発する。そこにいる人に向けて。そこにはだれもいなくても向ける。 文字を打ち込むことに慣れすぎてぼくらはほんとうの文字を忘れてしまったと彼は言った。彼は逆立ちしながらそう言っている。本当の文字は読めない。 …

椿

花ひらいて 過程がみえ星が肛門に 夢の中で混雑しよごれているきれいな手 きれいなよごれている手もうだれにも見せないそこにあったことはぼくだけが知ってつたえないペットボトルロケットが打ち上がる空気は紙のように切れる火花のような花びら架空の距離ず…

2022/03/27

体が拡散している状態で。 書きたいこと。明日から。 草を編む手にふれて、お互いがちがうところにいるのに、同じ方を見る。 手のなかに宇宙がある、宇宙にはもう体はない きみときみときみはもうさよなら、 さようなら そして始まること、もうずっと前から …

いる、いない 2022/03/23

そこにいたひとりの女性が、ぼくのことばでいなくなったとぼくは思ったが、彼女にとっては「わたしはここにいるんだ」と思った。わたしはこんなふうにいるんだ、と。 ぼくにとっては彼女はいなくなった、いなくなった。彼女はぼくをとてもいると感じている、…

友人からの助言 2022/03/23

社会における関係において重要なことは、役割。自らの役割を意識すること。相手を捉えるとき、実像に行かず、イメージにとどまること。中に入って行ってはいけない。話を聞くだけの人、常に沈黙しているひともまた、その役割を担っている。役割は、場所があ…

2022/03/20

きっといろんなことがあってさ、ひとつのこと、たとえば見るってことを考えるだけでも、みんなちがう、もうすこし手のとどきそうなところに何かがあっても、その肉を噛んでいるところを想像してみても、気づいたら宇宙の真っ暗にいたり、水のなかで溺れてた…

2022/03/15

草を編み、日時計をつくると、時が影となってぼくらに示す。空と草むらに、草むらの中の野花に、その横にあるアルミニウムの缶に、飛びまわる斑点の定まらないてんとう虫に、時を見るように、ぼくらは目を向かわせる。 雑踏の中、ひとびとが行き交う。ひとび…

2022/03/14 異常について

吉本隆明の講演『言葉以前のこと─内的コミュニケーションをめぐって』を聞きながら絵を描いた。千葉雅也が「今、批評的な文章を志す人は、自分で具体的にものをつくるのを同時にやって、それとの相互作用で批評を考えた方がいいと思う。」というツイートを読…

吉増剛造×郷原佳以『デッドレターの先に……』から引用

「震災以後、吉本隆明さんの書かれたものを筆写するという少し狂ったような作業をつづけていたんですが、ちょうど郷原さんの「デリダの文学的想像力」の最終回あたりを読んでいたときに、デリダの初期の一九六八年に「プラトンのパルマケイアー」という大作…

机の上のメモ

固定化は、動いているものにとって必要であるが、動いていないものにとっては不要である。つまり自分自身が「動いているもの」でなければ、批評に意味はない。 固定化した現実を再固定化することで対象自身を揺らがせて対象自身の可能性を見出す 思考――言動…

2022/03/13 言葉を使うことは

ひとはひとりひとり別宇宙を生きている。相容れない相手だけではなく、通じ合っていると思い込んでいる相手も、自分とは違う宇宙を生きている。言葉は、別宇宙の相手に、こっち側から向こうへ、別宇宙を知るために送られる探査艇である。 ぼくらはなにもコミ…

2022/03/10

ジャック・デリダ『散種』の中の『プラトンのパルマケイアー』の書き写しを始めた。布地をほどく作業は、また布地を組織体として再構成する。切断力をもつ痕跡の背後で、一つ一つの読解の裁断の背後で、布地自身の織地が際限なく再生される。批評はテクスト…

語りかける

絵を描くときにさ、形を意識しすぎて、つまり目を信用しすぎて、つまらなくなっちゃうみたいにさ、写真もそうだし書もそうだし、小説も詩もそうで、そうしないためには狂熱を使わなければならないと、耳元で誰かがささやいているんだけど、そういったこまご…

実験としての草稿

体に耳をすませながら、見たり思ったり考えたりして、それが道具によってかたちになる。たとえば道具がなければ写真を撮ることはできない。写真のような絵を描くことは、絵の目的が対象を目で見た通りに描き出すことにあるのだから、一つの結果として当然で…

『ほどなく消えるおそれがある』

一冊の本を読むとき、そこに何を読むことができるか。というより、何も読まないことは可能か? あるいは、読みながら読まないで、読まないながら読むことは可能なのか。 機会があって、『星の王子さま』を、おそらく十年ぶりくらいに読み返して、おもしろい…