2022/03/15

 草を編み、日時計をつくると、時が影となってぼくらに示す。空と草むらに、草むらの中の野花に、その横にあるアルミニウムの缶に、飛びまわる斑点の定まらないてんとう虫に、時を見るように、ぼくらは目を向かわせる。
 雑踏の中、ひとびとが行き交う。ひとびとはひとびとである。伝えたい、と思う必要はない。厳しく、歩くことから。先走ることは地点を見失うこと。ざらざらと燃える、文字とは名前である。立ちすくんでいるとしても、その地点から。考えることの前の、書くという所作。なにも書けなくていいんだよ。十万字を超えた。とめどなくあふれ出るものを、切断する。すべてを過去に送り込み、書くことを循環させる。お前が変わりたいのなら、変わろうとする、その石を遠くに投げて、拾いに行くこと。拾いに行くことを忘れながら歩くこと。歩くとは書くこと。書くことを、ある意味で信仰すること。書かれたものを、回顧しながら打ち捨てること。打ち捨てる所作に、書くことを含ませること。自らを鼓舞することは大事なことです。