あの子の体を 2022/02/03

 無意識に対する徹底的な叛乱。あらゆるものを批評する。そこで生まれる絶対的な意味。絶対的なものに対する反証。ぼくはあらゆるものに隷属する。隷属から革命へ。お前は文字盤を崩し、文字を燃やしたいらしいな。じゃあさ、あの場所にいた、体操の際に見事なフォームだったあの女性、というより女の子、あの子の言葉は? あの子が書いている文字は? そう、あの場所へ着いたら、体温と名前を書くんだ。あの文字を燃やしたいのか、あの体を燃やしたいのか! お前はあの子のことを一ミリも理解できないのに! すべての文字が自分のものだと思うな、孤立した文字を思え、まさにお前のことだよ、部屋の中でいろいろしていたと思ったらその部屋の窓から全く別の空間が見える、見えるだけではない、そこにもう入ってゆく兆しをつくる。全てがつながっていると思う、それはいい、だがな、実際には入れないんだよ。電話とは違うんだよ。そこにいるのにまるでそのことに気付いていないかのような女性がいた。あの人を知る、知ろうとするとき、文字は、言葉は役に立つか? ああ、そこにいる、ぼくがいて、他に人がいる、あのひとも、別のあの人もいる、それに耐えるとき、手帳には傷をつくることしかできなかった。毒か何かで窒息する人間が、喉を掻きむしる無言の所作、お前は無に包まれて、いや、お前は無そのもので、せいぜいコミュ障みたいで、いやそのもので、お前はお前を否定することしかできない。ここに書かれた文章も、独白に過ぎず、この苦痛は、決して目に見えることはない、か? お前は知っているだろう、運動の後、彼女がソファーに横たわっていたのを。何を読み取る? そこから。意味か? それとも? 声を失ったお前にできるのは、ただ見るだけ。だがな、もしその様子に対し仮想のカメラを構え、シャッターを切ったなら、お前は永遠にどこにも行けない。