椿

花ひらいて 過程がみえ
星が肛門に 夢の中で混雑し
よごれているきれいな手 きれいなよごれている手
もうだれにも見せない
そこにあったことはぼくだけが知って
つたえない
ペットボトルロケットが打ち上がる
空気は紙のように切れる
火花のような花びら
架空の距離
ずっと見てるよって
気持ち悪いんだよ

川の水が透明かどうか 夜だと分からないから
とけた足で歩く 空は澄んでいる
そこにランナーの大便があっても
ティッシュが山盛りになっていても
距離も沈黙も 架空の領域で
シャッターがぎりぎり切れた
もう眼球はビー玉より硬い
雨がふる ふる
感覚を感情にして
感情を石にして 投げる
投げる投げる投げる投げる
投げる投げる投げる投げる
殴る
殴られた頬は赤く
椿のように赤く
餅のようにふくらむ
もうそれを見てるだけで
遠くを歩いてるきみが
届かないということがうれしい
手が 文字をうむことが
桜のようにひらいて散って葉がぶるぶると生えて

青緑
空だ