2022/05/30

 読むことも書くことも、少し離れたところから見て、じぶんのことではないように感じ、花を育てるようではなく、じぶんの手を土に入れて、そのまま泥遊びをするように体をなじませ、いつか土になることを夢見る。
 時間は限られている。イポリートがした演説のようではなく、限られた時間を永遠に生きるように手を動かし続ける。間断なく。人に見せるためではなく。
 小さな声も恐れて。小さな声が白蟻のように家屋をこわしていくのを、肌の内側で感じて。
 感じられない人の手をつないで。時間にかたちを作って。
 空から大きな手が伸びてくるように、隣の人の話を、それだけではないものにする。